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「なぁ」

「ウゼェ」

「まだ何も言ってねぇだろ」

「ならさっさと言え」

「オレってさ、いっつも割り当て多い気がすンだけど」

「てめぇが最初に出てくからだろ」

「いや、それはイイんだけどよ。つーかそれがオレの役割ってーの?」

「イイんならいいじゃねぇか」

「何かさー、こーたまにはさー、『ごほーび』なんかくンねぇかなーなんて」

 

ガウンッ!!

 

「おめーワザと狙ったろ!」

「褒美のつもりだったんだが?」

「そんなモンいらねぇよ!そーじゃなくってよ、こう優しいお言葉とか?」

「イツモヨクヤッテルナ、ホメテツカワス」

「・・・・・・・・・・アンタに期待したオレが悪かったよ、忘れてくれ・・・・・」

 

 

今日もいつもと同じように妖怪軍団に三蔵達は襲われていた。

三蔵が銃に弾を装填する間、大抵誰かが背中に付く。

別に居なくても三蔵自身でどうとでもするのだが居るに越したことはない。

今日は悟浄だった。

相変わらずどこまで本気なのか分からない軽口を叩いている。

油断は禁物だがそれにしても手応えが無い。

倒しても倒しても降ってくるのか沸いてくるのか、キリが無い弱すぎる刺客共に三蔵もその軽口に付き合っていた。

 

−−−こんな雑魚相手に魔戒天浄も勿体ねぇ。だが何かもっと楽な方法は無ぇのか?−−−

 

元来モノグサな三蔵。

敵を倒しつつ喋りながらも頭の中ではどうやって手を抜くか思案していた。

目の前の敵に銃弾を撃ち込み、隙を狙って横から近付いた妖怪に蹴りを入れる。

その時ふと何か違和感があるものが目に入った。

何だ?と思い目を凝らすと悟浄の紅い髪に小さな緑色の物体が沢山付いていた。

ここは少し開けた場所とはいえ林の中。

恐らく落ちてきた葉が悟浄の錫杖で刻まれ髪に付いたのだろう。

三蔵は何とはなしに手で触れてみた。

中に入ってしまっているのもあり軽く触れただけでは落ちきらなかった。

もう一度戦闘の合間に手を出し、今度はわしゃわしゃと髪の中に指を入れて揺らしてみる。

どうやら全部落ちたようだ。

軽い自己満足に浸っていると悟浄が驚いた顔で三蔵を見た。

 

 

 

 

 

それからの悟浄の働きは目を見張るものがあった。

三蔵はもう自分は要らないと判断し、煙草に火を点けた。

 

 

 

 

 

 

「さんぞー!そっち終わったー?」

 

悟空が駆け寄ってきた。

三蔵が煙草を吸っているのを見て、

 

「何だ終わっちゃってたのかよ・・・・・って悟浄まだやってんじゃん!三蔵、何こんなトコで呑気に煙草吸ってんだよ!」

 

と悟浄に加勢しに行こうとした。

三蔵は「悟空」と呼び止め、

先刻、悟浄にしたように悟空の頭もわしゃわしゃとしてみた。

 

 

 

「・・・三蔵、オレもうガキじゃねぇよ。それとも何か変なモンでも食ったのか?」

 

 

今度こそ悟空は悟浄の元へ走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

悟空の動きは普段と何ら変わりは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三蔵はこの日、初めて『飴とムチ』の「飴の効果の絶大さ」を身を持って知った。

ただしこの「飴」は悟浄にしか効かないらしい。

そして次は「より甘い飴」でないと効果はないだろう。

悟浄と悟空が次々と敵を倒してゆく姿を見ながら三蔵は「より甘い飴」について考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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