月も見えないこんな夜。
手を伸ばせば確かに其処にある。
たとえ朝には跡形も無く消え失せるとしても。
希望とゆう病気
息も出来ぬ程強く抱き締めた。
薄い皮膚の下で骨という骨が悲鳴を上げる。
ゆっくりと腕の力を抜くと跳ねる心臓の音が近づけずとも耳に届いた。
「・・このバカっ・・・・殺す・・気かッ・・・・!」
呼吸が整うのも待たずに出された三蔵の声はしゃがれていた。
「そんなヤワじゃねえじゃん」
いつも通りの声を出す自分の顔はこの暗闇の中で三蔵には見えないだろう。
大きく上下する胸に唇を寄せるとその身体は一瞬跳ね上がった。
薄皮一枚の奥で途切れること無く打ち続ける鼓動と流れる血液がこんなにも近い。
寄せた唇を下へとずらし、辿り着いた先の三蔵に舌を這わせた。
「――っ!!」
つま先まで力の入った脚をゆっくりと撫でると浮いた腰がシーツに沈んだ。
脚に置いた掌をそのままに更に舌を這わせる。
皺の寄ったシーツの上を三蔵の手が彷徨う。
息を大きく吸い込む音も聴こえた。
手が足りない。
唇も足りない。
彷徨う三蔵の掌を握る手が欲しい。
求める空気の代わりに与える唇が欲しい。
ふいに浮かんだ莫迦莫迦しい考えを悟浄は無意識に浮かべた苦笑と共に仕舞い込んだ。
僅か一瞬逸れた気に気付いた三蔵の声が上から落ちてくる。
「何考えてやがる」
「・・・アンタのことに決まってンでしょ」
起き上がろうとする三蔵を押し止めるように上から被さった。
アンタのことだけ、と今度は耳元で繰り返す。
詰めた息を吐く唇に自分のを合わせた。
物足りず舌を差し入れる。
先刻握れなかった三蔵の手を握った。
片手だけで我慢し、もう一方の手は唇の代わりに下へと降ろす。
塞がれた唇の脇からくぐもった喘ぎが洩れる。
空いていた三蔵の片手が自分の背中に廻ったのを感じた。
それでもまだ足りないと内なる声が叫ぶ。
ならばと三蔵の脚を大きく割れば焦がれた互いが触れ合った。
「・・あァ・・・・・ッ・・」
堪えきれず仰け反った喉元が誘うように突き出される。
請われるままに悟浄は持ち得る自身の全てを差し出した。
届いた、と。
ただこの
例えば月も見えないこんな夜。
見えない月の代わりに幻を視る。