伸びた影の先にごみのような夢

 

 

 

 

 

 

 

 

   炎天下、陽射しを遮るものも無い道をひたすらジープを走らせる。

   じりじりと肌が焦げつく音まで聞こえそうな直射日光を浴び続け体力を少しづつ奪ってゆく。

 

 

   漸くこじんまりとした林らしきものを見付け休憩を取ったのが一時間程前。

   煙草を吸いに行った喫煙組が戻ってこない。

   八戒は木立の中へ探しに行った。

   それ程歩かない内に悟浄が座っているのを見付けた。

   だがもう一人の姿が見えない。

 

 

   「三蔵は?」

 

 

   親指で後ろを指差す悟浄に近付いてみれば当の三蔵は悟浄の背に寄り掛かり眠っていた。

   気温は高くとも湿度が低い今日のような天気の日は日陰に入れば案外涼しい。

   悟浄と周りの木に囲まれて眠る三蔵に起きる気配は無い。

 

 

 

 

 

 

   「あと三十分、ですよ。それ以上だとまた今夜も野宿になりかねませんから」

 

 

   軽く片手を上げ了解の合図を出した悟浄を残し戻ろうとした時呼び止められ八戒は振り返った。

 

 

   「その辺にライター転がってねぇ?」

 

 

   足元を見回すと銀色に鈍く光る悟浄愛用のジッポが落ちていた。

   拾い上げ手渡す。

   受け取った悟浄の脇には吸殻が一本。

   ヘビースモーカーの悟浄が一時間でたった一本。

 

 

 

 

 

 

   視線の先に気付き、気まずそうに悟浄が苦笑した。

   本当にこの悟浄という男は。

   八戒も笑うしか無かった。

 

 

 

 

 

   「今晩寝る前にマッサージしてあげましょうか?」

 

   「おー。じゃその後お前な」

 

   「はい。お願いします」

 

   「頼みついでにもう一つ。オレも寝ちまってそうだから起こしに来てくんねぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

   「仕方ありませんね」

 

 

 

 

   今度こそ八戒は二人を残し戻り始めた。

   音を立てないよう静かに歩く。

   木陰から出ると途端に容赦なく太陽が照りつける。

   振り返ると煙草を吸う悟浄が見えた。

   時間だと告げに来る時は盛大に足音を立てながら来ようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   きっと悟浄は寝たふりをしているだろう。

   三蔵が寝ていた事などまるで知らなかったというように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   振り返った顔を戻した時気付いた。

 

 

   吸殻は片付けておくように悟浄に言えばよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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