thing,thing,thing

 

 

 

 

 

 

 

一面のすすき野原だった。

午後の柔らかな陽射しを浴びて黄金色に輝いている。

その中を飛ぶ赤とんぼの大群。

二匹連なったそれらの羽もまたきらきらと光を反射している。

眩しすぎる光景に言いつかった用事も忘れ佇んでいた。

 

 

 

 

カチリと音がして、悟空は我に返り音がした隣を見た。

悟浄が煙草に火を点けながら、前に歩き出した。

黄金色と赤と光の中に吸いこまれるように思え、咄嗟に声をかけた。

 

 

「悟浄・・・!」

 

 

振り返ったいつもの悟浄の表情に訳もなく安堵した。

 

 

「何よ、どうかしたか?」

 

「な、何でもねーよ。ただ・・・」

 

 

その先の言葉を見つけられず悟空は黙り込んだ。

悟浄が続きを待っているのが分かる。

風になびくとんぼに負けない紅も眩しい。

 

 

「どこにも行くなよ・・・」

 

 

結局何と言っていいか分からずそのままを口にした。

笑われるだろうなと思ったが悟浄は笑わなかった。

 

 

「行かねぇよ」

 

「絶対だぞ、絶対どこにも行くなよ」

 

「お前ソレもしかして愛の告白ってヤツ?」

 

「ちげーよ!だけど・・・だけど。オレ、悟浄が好きだよ!」

 

 

言ってしまってはっとした。

これでは正に愛の告白と取られかねない。

悟浄の口から煙草が落ちそうだ。

慌てて付け足した。

 

 

「いや、好きっていっても違うから!三蔵と違ってあんな事やこんな事したいって思ってる訳じゃねーから!」

 

 

落ちそうだった煙草が落ちた。

気が付いた悟浄が踵で火を消した。

 

 

「あんな事やこんな事、ってどんな事よ?」

 

「それ、オレに言わせんの?」

 

「・・・お前どんな事想像してンのよ」

 

 

表現しようのない笑いを悟浄が見せた。

苦笑とも呆れとも照れとも取れる。

それを見て悟空は思った。

 

 

このまま、旅が終わった後もずっと四人一緒だといい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     *

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・したい、と思ってるんですか?」

 

 

盗み聞き、しようと思っていた訳では無かった。

だが二人に頼んだ薪拾いの様子を伺いに来てみると非常に面白い会話が聞こえてきたのは事実だ。

 

 

「あんな事やこんな事」

 

 

八戒は珍しく付いてきて同じく今までの会話を聞いていた三蔵の横顔を見た。

こめかみに青筋が立っている。

わなわなと拳も震えている。

会話も面白かったが三蔵の様子も面白い。

怒りか恥辱の為か返事を返せないでいる三蔵にトドメを刺すことにした。

 

 

「今夜の部屋割り、僕は悟空と一緒でいいですよ。存分にどうぞ、あんな事でもこんな事でも」

 

 

三蔵の右手が袂に入った。

握ったのは恐らく銃だろう。

向けられるのは自分かそれとも何も気付いていない二人か。

八戒は二人だと踏んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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