warm−up

 

 

 

 

 

 

 

『今から行くから鍵開けといて』

 

 

悟浄から電話が入ったのは三蔵が寝室のドアノブに手をかけた時だった。

こちらの返事を待つ事無くそれだけ言って切れた。

開けておかなければ深夜でもお構いなしにインターフォンを連打するだろう。

仕方なく三蔵は玄関の鍵を解除した。

だが悟浄の到着を待たず寝る事にする。

閉めきったままだった寝室は思った以上に寒かった。

潜り込んだベッドも冷え冷えとしている。

体温を奪うだけで温めてはくれない。

このままでは悟浄が来る前に寝付くのは難しそうだった。

 

 

 

 

 

 

やはりガチャリと玄関を開ける音がしっかりと聞こえた。

 

 

「寝てるし」

 

 

ごそごそと服を脱ぐ音に続き、悟浄が隣に入ってきた。

 

 

「ホント冷たい奴・・・・・ってマジで冷てぇな」

 

 

すぐさま伸びてきた悟浄の手も外から入ってきたばかりで当然冷たかった。

やっとほんの少し温まってきたところでこんな手で触れられては適わない。

三蔵はすぐさま振り払った。

 

 

「冷てぇぞ」

 

「あっためてもらおーと思ったのにオレと変わんねぇじゃねぇか」

 

「冗談じゃねぇ。何で俺がそんな事しなきゃならねぇんだ」

 

 

じゃあオレが、と再び伸びてきた手を身をよじって躱す。

その程度で悟浄が怯む筈も無く今度は脚を使ってきた。

それを三蔵も脚で蹴った。

 

 

 

抱き込もうとする腕を払い除け、押さえ込もうとする脚を蹴飛ばす。

もはや寒いも暑いも無い。

単に互いの意のままになりたくないという意地の張り合いだった。

気付けばピンと張っていたシーツは皺が寄り、毛布その他は半分ずり落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレら何やってんだか・・・・」

 

 

隣で仰向けになった悟浄が言った。

同意見だ。

二人して小さく笑った。

 

 

 

 

「準備運動完了?」

 

 

静かになった部屋でぎしりとスプリングが軋む音が響く。

覆い被さってきた悟浄に三蔵は反射的に目を閉じた。

何度か軽く触れた後深く深く唇が合わせられる。

シーツの上に投げ出していた腕を持ち上げ悟浄の頭を掻き抱く。

それに伴い悟浄の腕も背とシーツの間に差し込まれた。

息が切れる前に紅い頭を引き剥がし告げる。

 

 

「万端だ」

 

 

ニヤリと笑った悟浄の頭を腕に力を込めて引き寄せ自分から口付ける。

今度は最初から深く深く。

もう準備運動はいらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中途半端に温まった身体はいっそ汗をかくほど熱くなった方が良く眠れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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